仮想通貨取引で利益が出始めると、必ず直面するのが税金の問題です。私が税理士として10年以上、多くの投資家の方々と向き合ってきた中で、最も相談が多いのがこの「税金対策」なんですよね。
「去年ビットコインで500万円の利益が出たんですけど、税金って半分近く持っていかれるって本当ですか?」
こういった質問、本当によく受けます。実際、雑所得として課税される仮想通貨の利益は、最高税率55%にもなります。せっかく頑張って稼いだ利益の半分以上が税金で消えてしまう...これ、正直やりきれないですよね。
でも、ちょっと待ってください。実は、利益が800万円を超えたあたりから、法人を設立することで大幅に節税できる可能性があるんです。
確定申告の期限(3月15日)が近づくと、専門家のスケジュールは一瞬で埋まります。手遅れになる前に、まずは一度プロの意見を聞いてみてください。
もくじ
なぜ今、仮想通貨投資家が「マイクロ法人」に注目しているのか
最近、仮想通貨投資家の間で「マイクロ法人」という言葉をよく耳にするようになりました。マイクロ法人とは、最小限の規模で運営する法人のことで、個人事業主や会社員が税務上のメリットを得るために設立するケースが増えています。
特に2023年以降、仮想通貨市場が再び活況を呈し、大きな利益を得た投資家が続出したことで、この動きは加速しています。でも、なぜわざわざ法人を作る必要があるのでしょうか。
個人と法人、税率の違いがすべて
結論から言うと、税率の差なんです。これを理解するには、まず日本の税制の基本を押さえておく必要があります。
個人の場合(雑所得)
| 課税所得金額 | 所得税率 | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 10% | 15% |
| 195万円超~330万円以下 | 10% | 10% | 20% |
| 330万円超~695万円以下 | 20% | 10% | 30% |
| 695万円超~900万円以下 | 23% | 10% | 33% |
| 900万円超~1,800万円以下 | 33% | 10% | 43% |
| 1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 10% | 50% |
| 4,000万円超 | 45% | 10% | 55% |
※控除額は省略しています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)
一方、法人の場合は、実効税率がおよそ30%前後で固定されます(正確には資本金や所得金額によって変動しますが)。
例えば、仮想通貨で1,000万円の利益が出た場合を考えてみましょう。
個人で申告した場合:
課税所得1,000万円の場合、実効税率は約43%(所得税33%+住民税10%)になります。
税額:約430万円
手取り:約570万円
法人で申告した場合:
実効税率約30%
税額:約300万円
手取り:約700万円
その差、なんと130万円。これ、かなり大きいですよね。しかも、法人の場合はこれに加えて様々な経費計上の幅が広がります。
「800万円」という数字の根拠を徹底解説
では、なぜ「800万円」が分かれ道なのか。実は、この数字には明確な理由があります。
個人の税率を見ると、課税所得695万円を超えると税率が33%(所得税23%+住民税10%)になります。そして900万円を超えると43%まで跳ね上がる。この695万円から900万円の間に、法人税率との逆転現象が起きるわけです。
損益分岐点の詳細シミュレーション
ただし、法人を設立すると維持費がかかります。具体的には:
- 設立費用: 株式会社で約25万円、合同会社で約10万円
- 年間維持費: 法人住民税均等割7万円(最低額)、税理士報酬20万円〜30万円
- 社会保険料: 役員報酬を設定する場合、労使合わせて約30%
つまり、最低でも年間30万円前後のコストが発生します。このコストを考慮すると、個人の税率が法人の税率+維持費を上回る地点、それが概ね利益800万円前後なんです。
実際の計算はもっと複雑で、役員報酬の設定方法や社会保険料の扱い、各種控除の活用などによって変動しますが、目安として800万円というラインは覚えておいて損はありません。
マイクロ法人設立のメリット5つ
税率の差以外にも、法人化には様々なメリットがあります。実際に私のクライアントの方々が実感しているメリットをご紹介します。
1. 経費の範囲が大幅に広がる
個人事業主の場合、仮想通貨取引は雑所得扱いのため、経費として認められる範囲が非常に限定的です。基本的には取引所の手数料くらいしか認められません。
しかし法人の場合、事業に関連する支出であれば幅広く経費として計上できます:
- パソコンやモニター、トレーディング用の機材
- 情報収集のための書籍、セミナー参加費、オンラインサロン代
- 事務所家賃(自宅の一部を事務所として使用する場合も按分可能)
- 水道光熱費、通信費の一部
- 取引のための出張費、会議費
- ウォレットやセキュリティソフト
実は昨年、あるクライアントの方が「トレーディング用に4Kモニターを3台買いたいんですけど」と相談に来られたことがありました。個人だったら完全に自己負担ですが、法人なら事業用資産として経費計上できます。その方の場合、約50万円の機材が全額経費になりました。
2. 損失の繰越期間が10年に
これ、意外と知られていないんですが、めちゃくちゃ重要です。
個人の雑所得の場合、損失の繰越は一切認められません。つまり、今年500万円の損失を出しても、来年500万円の利益が出たら、その500万円に丸々税金がかかってしまうんです。
一方、法人の場合は青色申告をしていれば、欠損金を10年間繰り越せます(令和6年4月1日以後に開始する事業年度)。
仮想通貨市場って、ボラティリティが激しいじゃないですか。2022年のような暴落の年もあれば、2024年のように急騰する年もある。この波をうまく乗りこなすには、損失を繰り越せるかどうかが本当に重要なんです。
3. 所得の分散による節税
法人を設立すると、自分自身に役員報酬を支払うことができます。この役員報酬は給与所得となり、給与所得控除(最低55万円)が適用されます。
さらに、配偶者や家族を役員にして報酬を支払えば、所得を分散することで世帯全体の税率を下げることも可能です。
例えば:
パターンA:個人で1,000万円の利益
税率43%、税額約430万円
パターンB:法人化して役員報酬で分散
自分:役員報酬600万円(税率約20%)
配偶者:役員報酬400万円(税率約20%)
法人に残す利益:なし
合計税額:約200万円
もちろん、配偶者には実際に業務をしてもらう必要がありますし(名目だけの役員報酬は認められません)、社会保険料の負担も増えますが、トータルで見れば大きな節税効果が期待できます。
4. 社会的信用の向上
これは直接的な節税効果ではありませんが、見過ごせないメリットです。
法人化することで:
- 銀行からの融資が受けやすくなる
- 取引先や投資家からの信用が高まる
- 優秀な人材を雇用しやすくなる
- ビジネスの幅が広がる
実際、私のクライアントで、個人でトレードしていた時は「ギャンブラー」扱いされていたけど、法人化したら「投資会社の代表」として見られるようになった、という方もいらっしゃいます。
5. 退職金の活用
これは長期的な視点になりますが、将来的に法人を解散するときや、役員を退任するときに、自分自身に退職金を支払うことができます。
退職金には退職所得控除という非常に有利な控除があり、勤続年数に応じて控除額が増えます。しかも、控除後の金額の1/2にしか課税されません。
例えば、10年間役員として勤務した場合:
退職所得控除額:40万円×10年=400万円
退職金1,000万円を受け取った場合:
課税対象額:(1,000万円-400万円)×1/2=300万円
通常の所得として1,000万円受け取るより、はるかに税負担が軽くなります。
逆に、法人化のデメリットも正直に話します
ここまで読んで「よし、すぐに法人を作ろう!」と思った方、ちょっと待ってください。メリットばかり強調するのはフェアじゃないので、デメリットもしっかりお伝えします。
1. 赤字でも税金がかかる
個人事業主の場合、赤字なら所得税はゼロです。しかし法人の場合、たとえ赤字でも法人住民税の均等割(最低7万円)を支払わなければなりません。
仮想通貨市場が低迷して利益が出ない年でも、この固定費は必ず発生します。
2. 事務負担が増える
法人を運営するには、様々な事務作業が必要です:
- 帳簿の記帳(複式簿記)
- 決算書・申告書の作成
- 株主総会の開催と議事録作成
- 役員報酬の変更手続き
- 社会保険の手続き
正直言って、これを全部自分でやるのはかなり大変です。だからこそ、多くの方が税理士と顧問契約を結びます。その費用が年間20万円〜30万円かかるわけです。
3. 社会保険料の負担
役員報酬を設定すると、厚生年金と健康保険に加入する義務が生じます(例外的に加入しないケースもありますが)。
この社会保険料、実は結構重いんです。役員報酬の約30%(会社負担+個人負担の合計)が社会保険料として飛んでいきます。
月額50万円の役員報酬の場合、社会保険料は約15万円(会社負担約7.5万円+個人負担約7.5万円)。年間で180万円です。
もちろん、将来の年金額は増えますし、健康保険の保障も手厚くなりますが、キャッシュフローの面では負担になることは確かです。
4. 資金の自由度が下がる
個人の場合、稼いだお金は基本的に自由に使えます。しかし法人の場合、会社のお金と個人のお金は完全に分離されます。
会社の口座から個人的な支出をすることは、横領や背任に当たる可能性があります。お金を個人口座に移すには、役員報酬として支払うか、配当を出すか、貸付として処理するかなど、きちんとした手続きが必要です。
「会社は儲かってるのに、個人の生活費が足りない」なんてことも起こり得ます。
実際の設立手順:失敗しないためのステップ
ここからは、実際にマイクロ法人を設立する具体的な手順を見ていきましょう。私が実際にクライアントにアドバイスしている内容をベースにお伝えします。
ステップ1:会社形態を選ぶ(株式会社 vs 合同会社)
マイクロ法人を作る場合、ほとんどのケースで株式会社か合同会社の二択になります。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 設立費用 | 約25万円 | 約10万円 |
| 社会的信用 | 高い | やや低い |
| 決算公告義務 | あり | なし |
| 役員任期 | 最長10年 | なし |
| 意思決定 | 株主総会 | 社員の同意 |
私の個人的な見解:
仮想通貨投資のためのマイクロ法人なら、合同会社で十分だと考えています。理由は:
- 設立費用が半分以下で済む
- 運営がシンプル(役員変更の登記が不要)
- 決算公告の義務がないので費用がかからない
- 税制上のメリットは株式会社と同じ
ただし、将来的に外部から資金調達を考えているとか、取引先との関係で「株式会社」という肩書きが必要な場合は、株式会社を選ぶべきです。
ステップ2:事業目的を決める
定款に記載する事業目的は、将来やりたい事業も含めて広めに設定しておくのがコツです。
仮想通貨関連なら、例えば:
- 暗号資産の売買及び管理
- 暗号資産に関するコンサルティング業務
- インターネットを利用した各種情報提供サービス
- 投資に関する調査、研究及びコンサルティング
- 前各号に附帯関連する一切の業務
最後の「附帯関連する一切の業務」を入れておくと、柔軟性が高まります。
ステップ3:資本金を決める
資本金は1円から設立できますが、実務上は100万円〜300万円程度を推奨します。
理由は:
- 資本金1,000万円未満なら、設立後2年間は消費税が免除される(一定の条件あり)
- あまりに少ない資本金だと、取引先や金融機関からの信用を得にくい
- 運転資金として最低限の金額は必要
ただし、資本金が多すぎると税制上のデメリットもあるので、この辺りのバランスは専門家に相談するのがベストです。
ステップ4:定款の作成と認証
定款は会社の憲法のようなもの。絶対的記載事項(必ず記載しなければならない項目)と相対的記載事項(記載すると効力が発生する項目)があります。
株式会社の場合は公証役場で認証を受ける必要があります(費用約5万円)。合同会社は認証不要です。
最近は電子定款が主流で、紙の定款だと印紙代4万円がかかるので、電子定款で作成するのが賢い選択です。
ステップ5:登記申請
法務局に登記申請をします。必要書類は:
- 登記申請書
- 定款
- 資本金の払込証明書
- 印鑑証明書
- 就任承諾書
- 印鑑届出書
登記申請から約1〜2週間で登記が完了します。この登記申請日が会社の設立日になります。
ステップ6:各種届出
登記が完了したら、以下の届出を忘れずに:
税務署への届出:
- 法人設立届出書(設立から2ヶ月以内)
- 青色申告の承認申請書(設立から3ヶ月以内または事業年度終了日のいずれか早い日)
- 給与支払事務所等の開設届出書(開設から1ヶ月以内)
- 源泉所得税の納期の特例の承認申請書(任意)
都道府県・市区町村への届出:
- 法人設立届出書
年金事務所への届出(役員報酬を支払う場合):
- 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
この辺りの手続き、正直めちゃくちゃ面倒です。書類の書き方一つとっても、細かいルールがたくさんあります。だからこそ、最初から税理士に依頼するのが現実的な選択だと思います。
設立後の運営で気をつけるべきポイント
法人を設立したら終わり、ではありません。むしろ、ここからが本番です。
役員報酬の決め方が超重要
役員報酬は、事業年度開始から3ヶ月以内に決定し、原則として1年間変更できません(定期同額給与の要件)。
この役員報酬の金額設定、実はめちゃくちゃ難しいんです。なぜなら:
- 高すぎると会社に利益が残らず、法人化のメリットが薄れる
- 低すぎると個人の生活費が足りなくなる
- 社会保険料の負担も考慮する必要がある
- 役員報酬は損金算入できるが、利益が予想と違うと最適解が変わる
一般的な考え方としては:
パターン1:節税重視型
役員報酬を低めに設定(月20万円〜30万円程度)し、会社に利益を残す。個人の所得税は抑えられるが、社会保険の保障は薄くなる。
パターン2:バランス型
役員報酬を中程度に設定(月50万円〜70万円程度)。所得の分散効果と社会保険の保障のバランスを取る。
パターン3:社会保険重視型
役員報酬を高めに設定。将来の年金額を増やしたい場合や、傷病手当金などの保障を手厚くしたい場合に選択。
私のクライアントの例では、年間の仮想通貨利益が1,200万円程度見込める方の場合、役員報酬を月60万円(年間720万円)に設定し、残りの約480万円を法人に残すケースが多いです。
帳簿の付け方と口座管理
これ、本当に大事なんですが、個人口座と法人口座は完全に分けてください。
よくある失敗パターンが:
- 個人の口座で仮想通貨取引を続けてしまう
- 法人の資金を個人口座に移してしまう
- 個人のクレジットカードで経費を支払ってしまう
法人を設立したら、取引所の口座も法人名義で新規開設する必要があります。既存の個人口座の資産を法人に移す場合は、きちんと売買記録を残し、適正な価格での取引として処理する必要があります。
また、仮想通貨の取引記録は非常に複雑になりがちです。特に、DeFiやNFT取引まで行っている場合、税務処理は専門的な知識が必要になります。
最近は、仮想通貨取引の損益計算を自動化するツール(Cryptact、Gtaxなど)もありますが、法人の場合は通常の会計ソフトとの連携も必要になるため、やはり専門家のサポートが欠かせません。
決算と申告のスケジュール
法人の場合、事業年度終了後2ヶ月以内に確定申告を行う必要があります(延長申請をすれば1ヶ月延長可能)。
決算月の選び方も重要です。個人の場合は12月決算で固定ですが、法人は自由に決算月を設定できます。
決算月を決めるポイント:
- 仮想通貨市場の動向を見て利益確定のタイミングを調整しやすい月
- 税理士の繁忙期(12月〜3月)を避ける
- 設立月から考えて、最初の事業年度が短くなりすぎないようにする
例えば、3月や9月決算にすると、半期ごとの区切りが分かりやすく、税理士も比較的対応しやすい時期になります。
よくある質問と回答
Q1: 会社員でも法人を設立できますか?
A: はい、できます。副業として法人を持つことは法律上何の問題もありません。ただし、勤務先の就業規則で副業が禁止されている場合は注意が必要です。
また、会社員の場合、すでに厚生年金に加入しているため、マイクロ法人の社会保険加入については選択肢があります。ただし、この辺りは複雑なので、社会保険労務士に相談することをお勧めします。
Q2: すでに個人で仮想通貨取引をしていますが、法人に移行できますか?
A: 可能です。ただし、個人で保有している仮想通貨を法人に移す際は、一度売却したとみなされ、課税される可能性があります。
そのため、移行のタイミングは慎重に検討する必要があります。理想的には:
- 含み損がある時に売却して法人で買い直す(個人の損失は雑所得の範囲内で他の雑所得と相殺可能)
- 年をまたいで徐々に移行する
- 新規の投資資金は法人で行い、個人の保有分はそのまま保持する
Q3: 法人化したら必ず節税できますか?
A: いいえ、必ずしもそうとは限りません。前述のとおり、利益が800万円を下回る場合や、維持費を考慮すると個人のままの方が有利なケースもあります。
また、法人化のメリットを最大限活かすには、適切な役員報酬の設定や経費の計上、損益のタイミング調整など、専門的な知識が必要です。
Q4: 税理士は必ず必要ですか?自分でもできますか?
A: 理論上は自分でもできますが、現実的には税理士に依頼することを強くお勧めします。
理由は:
- 法人税の申告書は複雑で、間違いが起こりやすい
- 仮想通貨の税務処理は専門性が高く、通常の税理士でも難しい分野
- 時間を取引や事業に集中させた方が、結果的に利益が大きくなる
- 税務調査が入った際のサポートが受けられる
税理士報酬は年間20万円〜30万円程度かかりますが、それ以上の価値は十分にあると思います。
Q5: 仮想通貨に詳しい税理士はどう探せばいいですか?
A: これが実は一番難しい問題かもしれません。仮想通貨の税務は比較的新しい分野で、経験豊富な税理士はまだ多くありません。
探し方としては:
- 税理士紹介サービスで「仮想通貨に詳しい」と条件を指定する
- 仮想通貨関連のセミナーで講師をしている税理士を探す
- SNSで仮想通貨税務について発信している税理士をフォローする
- 実際に相談してみて、知識レベルを確認する
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実際の成功事例:年間300万円の節税に成功したケース
最後に、私が実際に関わった事例をご紹介します(もちろん、個人が特定されないよう、数字や詳細は変更しています)。
Aさん(30代、会社員)のケース
背景:
Aさんは大手IT企業に勤める会社員で、5年前から仮想通貨投資を開始。2023年の強気相場で大きな利益を上げ、年間利益が1,200万円に達しました。
法人化前の状況:
- 会社の給与:年収800万円
- 仮想通貨利益:1,200万円
- 合計所得:2,000万円
- 税額:約800万円(所得税+住民税)
法人化後の構造:
- 合同会社を設立(資本金300万円)
- 役員報酬:月50万円(年間600万円)
- 配偶者にも役員報酬:月30万円(年間360万円)
- 法人の利益:240万円
法人化後の税額:
- Aさんの所得税・住民税:約300万円(会社給与800万円+役員報酬600万円)
- 配偶者の所得税・住民税:約60万円
- 法人税:約70万円
- 合計:約430万円
節税効果:
800万円 - 430万円 = 370万円の節税
もちろん、社会保険料の負担増や税理士報酬(年間25万円)などのコストはありますが、それを差し引いても年間約300万円の実質的な節税に成功しました。
Aさんのコメント:
「最初は手続きが面倒だと思っていましたが、税理士さんに任せたらスムーズでした。何より、経費として認められる範囲が広がったことで、トレーディング環境の改善に投資できるようになったのが大きいです。妻も役員として実際に市場分析を手伝ってくれるようになり、家族の協力も得られて一石二鳥でした」
2025年以降の税制改正動向にも注目
税制は毎年変わります。特に仮想通貨に関しては、以下のような動きがあります。
法人税率の動向
現在、法人税の実効税率は約30%前後ですが、政府は企業の国際競争力強化のため、段階的な引き下げを検討しています。一方で、法人住民税の均等割や事業税の外形標準課税の拡大など、別の形での課税強化の動きもあります。
仮想通貨税制の見直し
現在、仮想通貨は雑所得として総合課税の対象ですが、業界団体からは分離課税(一律20%)への変更を求める声が上がっています。
もし分離課税が実現すれば、個人での取引でも税負担が大幅に軽減され、法人化のメリットは相対的に小さくなる可能性があります。
ただし、2024年時点では具体的な改正の動きは見られず、当面は現行制度が続くと考えられます。
インボイス制度の影響
2023年10月から開始したインボイス制度ですが、仮想通貨取引そのものは消費税の課税対象外なので、直接的な影響は限定的です。
ただし、仮想通貨関連のコンサルティングや情報提供サービスなどを行う場合は、インボイス発行事業者の登録が必要になるケースがあります。
まとめ:あなたは法人化すべき?チェックリスト
ここまで長々と書いてきましたが、結局「自分は法人化すべきなのか?」が一番知りたいですよね。
以下のチェックリストで、5つ以上当てはまれば、法人化を検討する価値があります:
□ 仮想通貨の年間利益が800万円を超えている(または超える見込み)
□ 今後も継続的に仮想通貨取引を行う予定がある
□ 経費として計上したい支出が年間100万円以上ある
□ 家族を役員にして所得分散できる
□ 事務作業や税理士費用の負担を許容できる
□ 長期的に資産形成を考えている
□ 社会保険の保障を手厚くしたい
□ 将来的に仮想通貨関連のビジネスも考えている
逆に、以下のような方は、法人化を急ぐ必要はないかもしれません:
- 年間利益が500万円以下
- 今年だけたまたま利益が出たが、来年以降は不透明
- 事務作業が苦手で、税理士に依頼する余裕もない
- 短期的な節税よりも、シンプルな確定申告を優先したい
法人化の相談は専門家に
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。かなり長い記事になってしまいましたが、それだけ法人化の判断は複雑で、多くの要素を考慮する必要があるということです。
正直に言って、この記事だけで完璧な判断をするのは難しいと思います。なぜなら、税務は個々人の状況によって最適解が全く異なるからです。
あなたの年収は?家族構成は?他に所得はあるのか?将来のビジョンは?保有している仮想通貨の種類は?取引のスタイルは?
こういった要素を総合的に判断して、初めて「あなたにとって最適な選択」が見えてきます。
だからこそ、必ず専門家に相談してください。
特に仮想通貨の税務は、通常の税務とは異なる専門知識が必要です。経験豊富な税理士に相談することで:
- あなたの状況に最適な節税プランが立てられる
- 法人化のタイミングを的確に判断できる
- 設立後の運営もスムーズに進められる
- 税務調査のリスクを最小化できる
- 法改正などの最新情報を常に把握できる
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最後に:節税は「手段」であって「目的」ではない
ここまで節税の話をたくさんしてきましたが、最後に一つだけ、税理士として常々感じていることをお伝えさせてください。
節税は確かに重要です。でも、それは「手段」であって「目的」ではありません。
法人を作ることに夢中になりすぎて、肝心の投資パフォーマンスが落ちてしまったら本末転倒です。複雑な税務処理に時間を取られて、市場分析がおろそかになってしまったら、節税で浮いたお金以上の機会損失が出るかもしれません。
私がいつもクライアントの方にお伝えしているのは、「シンプルに保つこと」の大切さです。
税務はプロに任せて、あなた自身は得意なこと、好きなことに集中する。そうすることで、結果的に資産も増え、税金対策も万全になる。これが理想的な形だと思います。
仮想通貨市場はまだまだ発展途上です。これから10年、20年と続く長い投資人生において、今どういう基盤を作るかは本当に重要です。
その基盤作りの一つとして、適切なタイミングでの法人化を検討してみてください。そして、その判断をするときは、ぜひ専門家の力を借りてください。
あなたの投資活動が、より実り多いものになることを心から願っています。
【免責事項】
本記事の内容は2024年12月時点の税制に基づいて執筆されています。税制は毎年改正される可能性があり、また個々人の状況によって最適な対応は異なります。実際の税務判断や法人設立の際は、必ず税理士などの専門家にご相談ください。本記事の情報に基づいて行った判断により生じたいかなる損害についても、筆者および運営者は一切の責任を負いません。
